「第130回 酒さ様皮膚炎」 2022年10月28日付 「リビング多摩 」に掲載されました
- 2022年11月11日
- 一般皮膚科
顔が赤く腫れてきたのはステロイド軟膏が原因?
“酒さ様皮膚炎”かもしれません
「顔が赤く腫れてほてった感じでうっとうしい、と訴える患者さんの中には、“酒さ”といわれる皮膚症状によく似ていても、全く別の“酒さ様皮膚炎”の場合があります」と話す立川皮膚科クリニックの伊東秀記院長(日本皮膚学会認定皮膚科専門医)に聞きました。
―原因は?
「“酒さ様皮膚炎”は、ステロイド剤などの薬の副反応で起こる症状で、ニキビや湿疹の治療でステロイド剤やタクロリムス軟膏を継続して塗っていると、その部分の毛細血管が広がり、ほてりや赤みがみられるようになることがあります」
―症状は?
「“酒さ”は鼻や口の周りなど、主に顔の中央部分に現われるのが特徴ですが、“酒さ様皮膚炎”は、ステロイド剤を塗った部分に発症します。はじめは赤いだけでも、そのうちブツブツができて痒くなる場合もあります」
―診断は?
「皮膚症状がある患者さんには、ニキビや湿疹の治療でステロイド剤や免疫抑制剤などの塗り薬を使用していないか、過去に継続して使用していたかを確認することが大事です」
―治療法は?
「まずは副腎皮質ステロイド剤など、原因となる塗り薬の使用を止めることですが、自己判断で勝手に中止するとかえって症状が悪化する場合もあります。専門医の指導に従って軟膏の種類を変える、ステロイド以外の抗菌剤などの外用薬を使いながら、症状が治まるのを根気よく診ていく必要があります。いつもと違う皮膚症状が気になったら自己判断せず、専門医に相談して下さい」